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「食べてきたもの、通ってきた道」喜悦旅游#19



 2024年3月某日。わたしは確定申告の作業をしていた。


 これが最後の確定申告かと思うと、何か感慨深いものがあった。24年間一貫して行なってきた個人事業が、ひとつの区切りを迎えている。


 もちろん、何事も「最後」というものは厳密にはなく、終わっていたこと、途絶えていた道が急につながることもある。実際に、引退し、旅芸人としての役割を終えたはずのわたしが、来たる4月には旅回りの拠点としていたモントリオールの舞台に立つ。


 何事も、最後というものはない。最初というものすら、実ははっきりしていない。


 人生の全ては、「気づいたらそこにいた」そういうものなのだと思う。



 旅の道連れ、盛田さんと出会ってから数年後、わたしたちは事業を一緒に行うことになった。現在のRaymmaの前身が2022年にスタート、その時は2人とも、それぞれの仕事と両立して行なっていた。2023年5月にRaymmaがスタートした時点で、わたしは自分の事業を整理する方向に向かい、ついに一区切りとしての確定申告を行うこととなったのだ。


 毎年、確定申告は取り掛かるまでは憂鬱だが、いざ始まると呆気ないほどスムーズに終わる。今年は特に、下半期は事業を整理していくのみだったため、とてもシンプルなものだった。


 領収証は、自分の通ってきた道のり。ひとつひとつ点検するごとに、2023年という年の思い出が浮き上がってきた。旅ばかりしていたが、この間は色々なことがあった。個人事業の整理、2件の店舗の退去、神戸店への入居、株式会社設立に伴う、前身である一般社団法人CENOTEの廃業。そしてもちろんRaymmaの開業。


 法人、屋号とは不思議なものだ。それぞれ独立した人格のように個性が見えてくる。これらはすべてわたしとともに歩いてきてくれたものなのだ。旅の途中に開業廃業の手続きをしたり、納税したり、色々整えたり、引っ越ししたり。旅路の通ってきた道で共にあった仲間、それがわたしの個人事業であり、CENOTEであり、Raymmaだ。



 盛田さんにとっては、長年手がけてきた事業も、旅の道連れ、メンバーだろう。2人で旅をしていながら、なぜか不思議な旅団のような感じがしている。旅団が乗った船からCENOTEが下船し、わたしの個人事業が下船し、まもなく盛田さんの個人事業が下船する。


 メンバーが変われば、旅団の雰囲気も変わるだろう。あたらしいRaymmaの船は、どうなるのだろうか。


 そんなことを思いながら、旅の写真を整理し始めた。


 本当に色々なところに行った。そして、色々なものを食べてきた。その土地のものが、私たちの体を作る。私たちの体は、旅でできている。人間の細胞は4ヶ月で入れ替わるという。Raymmaの前身ができてから2年。旅の体は6巡目となった。12巡すると全身の細胞は全く別人レベルで入れ替わるというから、ここからの旅がますます楽しみだ。


 あれは美味しかった、これも美味しかった。

 

 さらに美味しい未知を求めて、旅は続く。





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