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喜悦旅游#4  「留萌」〜北海道編2

更新日:2023年10月6日



 

 


 

 一路、留萌に向かう。北海道は、神戸よりも日が落ちるのがずっと早い。そして、すでに秋の風が吹き始めて肌寒いほどだ。パーキングエリアで上着を羽織る。

 

 新千歳空港から留萌までは、高速道路と一般道を走って約2時間20分ほど。夕暮れ時、土地勘のない192kmをひた走る。留萌は高速道路の終わるあたりから、少し国道を進んだところにあるらしい。留萌自動車道を降り、日本海オロロンラインへ。ルルモッペ大橋を渡ると、留萌の市街地が見えてくる。シャレた字体のスナック看板が、幾つも闇に浮かんで見えた。

 

 街に入ったら、急にお腹がグウっと鳴った。土地勘はないが、美味しいものが食べたい。宿の人におすすめの店を聞くと、歩いてすぐの場所に「将軍」という海鮮中心の居酒屋があるという。大変な人気店で、開店時刻に入るなら予約は必須だが、8時を過ぎたら予約なしでもいけるかも知れない、とのこと。親切に地図を渡してくれたので、まずはそこまで歩いてみる。

 

 将軍は、予想以上に近かった。賑やかな声が外まで聞こえてくる。かなりの繁盛店のようだ。宿の人の言う通り、一巡目のお客が入れ替わるタイミングなのか、スムーズに入店できた。

 

 メニューを見ると、そこには未知と魅惑の世界が広がっていた。あれもこれも、目移りしてしまうが、ここは気になるところから。初めて目にする「地物のなうに刺身」、北海道ならではの「タコザンギ」、地元の海の幸が溢れる「寿司」、自家製の「いか塩辛」と注文してみた。


 

 実は、わたしはウニが少し苦手だ。普段自分から注文することはないのだが、折角北海道に来たので、地物だったらどんな味わいなのだろうと興味を持った。まずは「のなうに」が運ばれてくる。少しだけ箸に取り、何もつけずに舐めてみる。

 

 こ…これは…!

 

 そこから、箸が止まらなくなる。とろけるウニが口の中に広がるたび、ウニに抱いていた固定観念が溶かされていく。水揚げされた場所で食べる、ウニのふくいくとした味わい、生命力。すごい迫力だ。


  ウニの余韻に浸る間もなく、続けて料理は運ばれてくる。


 揚げたての「タコザンギ」。タコの唐揚げだ。柔らかく、弾力があって、甘いタコの身。ニンニクが効いて、よく冷えたビールに合う!


 そして、圧巻は寿司だ。留萌の新鮮な海の幸が、これでもか、これでもかと盛り盛りになっている。




 留萌の特産だという、数の子!パリパリ、プチプチと楽しい食感、噛むほどに旨みが広がる。ホタテの味わいは、幸せとしか表現のしようがない。甘く蕩ける夢の世界。いつもだったら苦手なイクラ、トリ貝、カニ。苦手だと思い込んでいたのは、本当の味を知らなかったからなのだと悟る。


 これだから、旅は面白い。ふとしたことが、自分の歴史を一気に塗り替える。本当と信じ込んできたことが、実は幻影だと気づいてしまったり、自分の本当のよろこびを知ってしまったり。時と場所と自分がカチッとハマる時、あらゆるミラクルが起きるのだ。


 一口ごとに、固定観念はさらに溶かされる。味わうごとに、人生がアップデートされていく。続々と運ばれてくる料理に溢れる土地の力を感じながら、ただただひたすらに美味しく、よろこび。


 歓喜とともに、留萌の夜は更けていく。(続く)


 

株式会社RaymmaのWEBマガジン「喜悦旅游」は、伊地知奈々子の文・盛田諭史の写真という定点から、「価値観の切り替わり」を表現することを目的としています。


価値観の切り替わりは、個人を変える。

個人の小さな変化こそ、世界をダイナミックに変える原動力。


あなたを切り替える旅に、出てみませんか。

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